アニブロキース

キース

このブログを読んでくださっている皆様。ご無沙汰しています。河端です。

シェパードのキースの記事を以前良く書いていました。
ブログを通じてキースを身近に感じ、好感を頂いて下さる方がとても多く
皆様から愛され親しまれているキースのことをとても誇りに感じています。

そんな皆様に報告をしなければいけないことがあり
久しぶりに書かせて頂きます。
長文になりますが、お付き合いくださいましたら嬉しく思います。

キースの姿が見えなくなって半月が経った。
13年半ずっと傍にあった大切な宝物。
ふれることはできなくなったけれど、まだ傍にいる気がする。

 

犬種別年齢表によると、ジャーマンシェパードの13歳は人間に換算すると104歳になるらしい。
キースはこのところ一日の大半を寝て過ごし、大きな物音がしても中々起きなかった。
足腰も弱くなって、あまり歩きたがらなくなっていた。
寝ている間にお漏らしをしてしまっていることもあり、利口なキースは自分の失態をひどく気にしていたので、私は気が付いていない振りをしながらこっそりと拭くようにしていた。

 

古くなった体をいつ離れるか、終わりにする時をずっと伺っているのではないか
そんな不安がしていた。

11月5日にはイベント最終日を迎え、仕事がひと段落して一気に落ち着く。
その時を選ぶのではないかって、ずっと前からなんとなく、そんな予感がしていた。
キースの考えそうなことだ。

 

予感的中。仕事の緊張が緩んだ微細な変化を読まれてしまった。
11月7日 キースはエサを食べることを止めた。
私を見つめる真っすぐな視線が、さよならの準備をしようと言っている様に感じた。

その晩、トイレの上に腰を下ろして横になり、立ち上がろうとしなくなった。
潔癖症のキースがトイレで寝るなんてあり得ないこと。
そこにキースの心得と気遣い、そして旅立ちが近いことを感じた。
抱き上げベットに寝かせ、気を使わなくて良いように、お尻の下にペットシーツを敷き、排尿の度に頭を撫ぜ、沢山褒めてあげた。

寝たきりになったキースと3日間ずっと一緒に寝て過ごした。
想い出話と沢山の感謝の気持ちを伝えた。
それでもまだ全然足りなかった。もっと一緒にいたい。

愚図る私の横でキースはずっと眠らずに起きていた。
体を起こした姿勢のまま、じっと私の顔を見ていた。
もう出発の準備が出来ているようだ。私の合図を待っている。そんな気がした。
嫌だ嫌だ!さよならなんて言ってあげないよ!
寝たきりでもいい。介護なんてちっとも苦にならない。
とにかく生きていてほしい。。。

長い沈黙の間、もうどれくらい寝ていなかっただろう。
一晩中キースの荒い息遣いを聞いていた。
眠たくてたまらないのに、眠ることを許されず、必死で起きて耐えているようだった。
もう限界はとっくに過ぎている。
私が無理やり引き止めてしまっているんだ。

本当に愛しすぎて、心からこう思った。
「もう、私は大丈夫だよ。ゆっくりおやすみ。」

私のその言葉を聞いた数時間後、キースは永眠した。
9日の朝のことだった。

キースの遺体はとても美しかった。毛艶も肉付きも良く、顔は笑っていた。

犬は不思議な力を持っている。
私はキースが元気でいることを毎日褒めていた。
元気で賢いね、健康で偉いね、って、キースを支える体にいつも感謝していた。
必要とされているという確かな実感がキースをここまで長寿にさせたのだと私は思う。

聴覚が優れているシェパードは人の心臓の鼓動さえ聞き取ることができる。と聞いたことがある。
キースは私が落ち込んだり、泣いたりしていると、「傍に来て慰める」なんてことはしなかった。露骨に嫌な顔をした。深いため息をついて私の傍を離れた。

私が不安になるとキースも不安になる。
だからもう泣かない。キースにずっと傍にいて欲しいから。

キース、これは悲しくて泣いているんじゃないよ。
あなたの賢さに感動して涙が溢れてくるんだよ。
やっぱりあなたは最期まで私を感動させるね。

ありがとう。ゆっくりおやすみ☆

最期の日のお話で悲しい気分になられた方ごめんなさい。
でも、お別れは悲しいけれど一緒に過ごした日々の幸せの方が大きく
思い起こしても感動でしかないんです。

多くの方から愛されたキースの最期の親孝行に感謝し
キースに掲げる追悼記としてここに残させて頂きます。

河端 久美子