珍獣を飼う条件

ミーアキャットのムルは以前は一般の方に飼育されていました。
赤ちゃんの時から飼育していたそうですが
大人になって手に負えなくなったということで相談を受け、うちで引き取りました。
名前も無いこの子に、私は「ムル」という名を付けました。
いつもケージから手を出して、撫ぜて～っとスリスリ体をこすりつけてくる可愛い子です。
でも、研修に来ていた実習生に大怪我をさせてしまったことがありました。
ムルは危険な子なのでしょうか？
どんなに懐いている動物でも、人が超えてはいけないラインがあります。
特に野生に近い動物は、本能的に身を守ろうとします。
何をされても平気、絶対的に人を信頼しているという訳ではありません。
これは人に甘えることとは別です。
自分が安心して過ごせるため、警戒は常に怠ることはなく
縄張りの主張、餌の守備に敏感なのが動物です。
ムルの場合は
空になった餌皿をケージから取りだす際に
自分の大切なものを取られると勘違いし襲いかかってしまったのです。
ムルは危険な子なんかではありません。
巣穴を持ち、餌を蓄える習性が強いミーアキャットと接するには
守ってあげなければいけない約束があるのです。
縄張り（ケージ）に手を入れる際には、急に脅かしてしまわないように
まず声をかける
古い餌皿を取り上げる前に、新しい餌皿を差し出す
（そうすることによって、餌を取られた[emoji:e-262]というより
餌をもらった[emoji:e-420]という認識にすり替える）
など、動物の気持ちになって気を配りながら世話をしていれば
とてもうまく付き合うことができます。
何も考えずに接していると突発的な事故と成りかねません。
それで「この子は危険だ」とか「懐いていない」なんてレッテルを張るのはどうかと思います。
「懐いている」と言えば、何をしても良いと勘違いし
「噛むかもしれません」と言えば、懐いていないと判断される
動物の扱いはそんな単純なものではありません。
ミーアキャットはペットとしての歴史は浅く
野生に近い動物、珍獣の部類になります。
珍獣は人の傍で暮らすこと事態が本来の形ではないのですから
ペットとして飼うのなら、動物の習性を理解し付き合い方を考えないといけないのは人間の方です。
「ムル」　沖縄の方言で「全部」という意味らしいです。
可愛いところも、荒々しいところも「全部受け止める」
そんな思いで名付けました。
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