「うちの犬はぜんぜん言うこと聞かないからぜんぜん賢くないんですよね」
犬を飼っている方にたまに聞かれるこのセリフ。
なぜ、言う事を聞かないのか、という理由を探ってみると、「賢くない」のでなく、逆に「賢すぎる」ということがよくあります。
基本的なしつけ
犬を飼う上で、必要になってくるのがしつけです。
一般の方のしつけには、トイレトレーニングなどの基本的なことをはじめ、次いで「これはやってはいけない」、「あれはしてはいけない」、などの注意・叱りの部分が多くを占めています。
ですが、その中でもっとも大切なしつけ「No(ダメ)」を教えていない場合が多いのです。
教えるまでいかないでも「ダメ」という意味をぼやっとさせてしまっている行為が見受けられるといったところでしょうか。
例えば「吠えてほしくない」とする時。
Good!
- 吠えた時に「No(ダメ)」などと制する
- 吠えるのをやめた時、吠えそうだったけど吠えなかった時に「Good(いいこ)」と褒める
Bad!
- 「吠えるな」という指示の代わりに犬の名前を呼んで叱る
- 「ほら~」「だめよ~」など言葉は怒っているが言い方が褒める時と同じ
- 「この子はこういう子だからね~」と決めつけてしまう
Point!
名前は、個体を識別するための言葉であって、名前そのもので指示を出すことは控え、指示を伝えたい時は本来の言葉を用いた方が犬が混乱しません。
- 「太郎ちゃん(呼ぶ)」→「太郎ちゃん、おいで」
- 「太郎ちゃん(ほめる)」→「太郎ちゃん、Good(いいこ)」
- 「太郎ちゃん(しかる)」→「太郎ちゃん、No(だめ)」
グレーゾーンを犬が決める
「Good(いいよ、あってるよ)」「No(ダメ、ちがうよ)」という意味を飼い主が明確にしておかないと、指示にグレーゾーンが多くなっていきます。このグレーゾーンを放っておくと、その中の「Good」「No」を犬が判断して決めていくことになります。
犬の中で、自己判断して学習した行為を、人間の理由で叱ったとしても、犬にとってはそれを止める意味が分からず、結果として「むだ吠え」「かみ癖」という症状に繋がります。
つまり、自己学習・判断能力が旺盛な子の方が、飼い主にとって「いう事を聞かない」犬と思われがちなのです。
つまり、「やってほしくない」という理由や説明が犬にまでしっかりと伝わり切っていない結果、「言う事を聞かない」といわれる犬になるのです。
ひとつの手段として「絶対服従」のような関係を作ればもちろん言う事は聞きますが、力で関係を作ると犬も自分より下の関係を作ろうとする傾向にあります。また、飼い主以外の言う事は全く聞かなくなるということにも繋がります。
犬種・個体の差による
と、ここまでまるでしつけ教室のマニュアル本の様に説明してきましたが、実際のところ犬種・個体の差は大きく、なかなか思うようには進みません。情緒的に吠えやすかったり、運動不足からのイライラからの問題行動など、環境によっても様々。あくまで目安・指標としてご参考下さい。
どんな手段であれ、人にとっても犬にとってもストレスなく、お互い幸せな関係が続けられるようになれば素敵ですね。