約束(生と死の狭間)


 

1月4日。
シェパードのキースが胃捻転をおこし
夜間救急医療センターで手術をしました。
祈りながら待合室で待つこと1時間が経過。
まだ手術は途中だというのに、手術室の中へ呼ばれました。
嫌な予感。
手術台の上には、大きくお腹を開かれた犬が
仰向けに寝かされていました。
心電図の音だけが「まだ心臓は動いている」と合図しているけれど
「生きている」とは思えないような姿。
ましてそれが、数時間前まで元気にはしゃいでいた
あのキースだなんて信じられず
茫然と、生物学の講義でも受けているかのように
解剖された犬を眺めながら、先生の話を聞いていました。
胃袋が脾臓を巻き込んで270度ねじれていたこと
壊死した脾臓がすでに摘出されたこと
胃の半分も壊死し、切除が必要なこと
これ以上手術を続けても、助かる可能性がほとんどないこと
このままお腹を閉じて、安楽死をさせるのが賢明であること
沢山の動物を飼育していると
沢山の別れを経験しなくてはいけなくなりますね。
その中で私は、最期に言える言葉が
「ありがとう」なのか「ごめんね」なのかで
気持ちの一区切りをします。
私はいつも仕事の忙しさを理由にキースを独りにしてしまっていた。
それでもキースはいつもまっすぐな瞳で、ひたすら私の帰りを待っていてくれた。
今度行こうねって約束した川も、新しい公園もまだ連れて行ってあげていない。
キースに今言えるとしたら
「ごめんね」だ。
やり残してしまったことが沢山ありすぎる。
今、お別れなんてできない。
「先生、手術を続けて下さい。」
手術開始から5時間半が経過。
手術を終え、横たわるキースをやっとガラス越しに見ることができた。
キースは、お医者様も驚くほどの生命力で、手術を乗り切りました。
今度は術後の合併症、度々襲ってくる苦しい不整脈との戦いです。
重度の貧血と胃潰瘍とも戦っています。
ヘモグロビン数がそろそろ生命の危険数値に入ります。
輸血が必要になりそうです。
でも、キースは勝つに決まっている。
負けたりなんかしない。
だって、「約束」したから。
まだ、私の傍にいることを選び
三途の川より戻ってきてくれたキースの傍に
これからは、私もできる限り一緒にいるよ。
そう約束したから。

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